2024.04.03
プレスリリース
理学部?理学研究科
悪玉を善玉に:金属薄膜による消光を抑制し発光増幅を誘起
兵庫県立大学大学院理学研究科の小簑剛准教授、髙石みなみ大学院生らの研究グループは同大学大学院工学研究科の前中一介教授らと共同で、発光性有機薄膜と金属薄膜のハイブリッド構造から成る光共振器において、発光の増幅の起こりやすさが金属薄膜を用いる場合と用いない場合とで同程度であることを発見しました。この発見から、金属薄膜による消光に起因する発光増幅の阻害効果を完全に抑制することに成功しました。
一般に、金属薄膜はその近傍にある分子の発光を消光する悪玉として振舞います。一方で、ナノスケールの金属では、消光どころか発 光の増強を生む善玉であることが知られています。本研究成果は、金属薄膜においても、光共振器に組み込むことで善玉の作用である発光の増強効果が発現し、悪玉の作用である消光効果と拮抗し得ることを示したものです。
本研究成果を応用することで、消光の影響を排除しつつ光共振器内に金属電極を組み込むことが可能となります。金属電極を利用すれば光共振器を外部回路と電気的に接続することができるため、光共振器内に閉じ込めた光のエネルギーを電気的に制御したり、そのエネルギーを電子として系外に取り出したりする技術の開発が期待されます。 本研究成果は、出版に先立ち、 2024年3 月22日に「 Physical Chemistry Chemical Physics 」にオンライン掲載されました。
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(本学より配布)
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