Virtual Reality

#スーパーコンピュータ #3D #シミュレーション技術 #可視化 #気象 #運転技術 #人体構造

現実では難しい環境や状況を自在に再現し、未知の体験や現象を探求できるVR技術。情報、工学、医療、教育など多分野で活用でき、新たな知見や応用の可能性を大いに秘めています。兵庫県立大学がVRを用いて取り組む研究の最前線をご紹介します。

数値データを「体感」する。
VRによる可視化技術

大野 暢亮教授

社会情報科学部所属(研究者情報はこちら

スーパーコンピューターで計算されたシミュレーションデータは、台風の進路予測や地震のシミュレーションなど、私たちの生活に役立つさまざまな分野で活用されています。私は、そうしたシミュレーションで導き出された大規模数値データをVR技術や3D画像を使って可視化する研究を行っています。

例えば、地球科学では台風や地球内部の動きをシミュレーションし、それを立体的な画像として表示します。核融合科学では、プラズマ(電離気体)の圧力や流れを3Dで可視化し、研究者がより直感的に理解できるよう支援します。

この研究の重要な目的は、研究者がシミュレーション結果をより直感的にわかりやすく解析できるようにすることで、研究の可能性を広げること。特にプラズマのシミュレーションの分野では、膨大な数値データが登場するため、2Dのグラフやカラーマップでは把握しにくいケースがあります。

そこで、3D可視化技術を用いることにより、複雑だったデータを直感的に理解できるようになります。また、この技術は教育分野への応用も期待されます。数学や物理の授業で関数や物理現象を立体的に示せば、生徒の理解が深まるだけでなく、ゲーム感覚で楽しく学ぶことも可能になるでしょう。

一方、この技術には課題もあります。1つは、研究者が直感的に使いやすいイメージを作ることの難しさです。作り手と利用者の視点が異なるため、どのような表現が「わかりやすい」のかを常に考える必要があります。

もう1つは普及の問題です。VR機器は以前より安価になったものの、まだすべての研究者が利用できる環境ではありません。そのため、どんな環境でも使える方法を模索することが求められます。

今後はこれらの課題を克服し、より多くの分野でこの技術を活用してもらえるよう尽力していきます。

拡大する研究

緊急走行の事故防止を目指す全国初の取り組み

山添 大丈准教授

工学研究科所属(研究者情報はこちら

姫路市消防局と共同で、緊急走行を体験できるVR運転シミュレータの開発と、それを用いた安全運転教育の研究を進めています。緊急車両の事故は、傷病者の容態悪化や消防機関の信用低下につながるため、全国の消防本部にとって事故防止は重要課題です。しかし、ベテラン職員の減少や出動件数の増加などの影響により、事故は依然発生しています。緊急走行は実地での訓練が難しいという問題もあるため、VRを活用することで効果的な訓練の実現を目指しています。これまでに、開発したシミュレータを消防署に設置し、VRで緊急走行を体験してもらう実証実験を実施しました。その際の運転行動を記録し、新人とベテランの運転行動の比較?分析も進めています。その結果、ベテランは交差点を通過中に何度も左右確認を行うなど、いくつかの傾向がわかってきました。今後は、こういった行動の違いを活かした、緊急走行の効果的な安全運転教育を目指していきます。


次世代の医療学習がここに

片山 貴文教授

看護学部所属(研究者情報はこちら

近年、VR3D技術を活用した医療?看護の教育実践が広がっています。兵庫県立大学においても看護学部の学生3D教材を利用してもらうために、学術情報館の一部をVRコーナーに改装。これにより、教科書中心の学習に比べ、解剖学的な位置関係を立体的に理解できるようになりました。例えば、3Dプリントを活用することで、人体構造を実際に手に取って学べます。また、CTMRIの画像を3D化することで、患者への説明が分かりやすくなります。電子カルテに導入すれば、より詳細で理解しやすい医療情報の提供が可能です。これらの技術は、看護師だけでなく患者にも多くのメリットをもたらし、今後の医療現場で必須のスキルとなるでしょう。今後も看護学生が最新技術に触れる機会を増やし、VR環境の整備や活用範囲の拡大に努めます。

注目の人 -Person-

未来の研究環境をVRでアップデート

研究活動において欠かせないものになった「データ」。そのデータを可視化するためにVRを活用したいと考え、研究中です。特にヘッドマウントディスプレイ向けのシミュレーション結果可視化ソフト「VOIR」に、CTMRI画像、雲などの表示に使われるボリュームレンダリングを実装することに取り組んでいます。日々既存コードの解析?拡張を行い、多くの人とイメージを共有できる環境の構築を目指しています。3次元シミュレーションのハードルを引き下げることで幅広い研究の発展に貢献したいです。

未来の研究環境をVRでアップデート

河内 佑真 さん

社会情報科学部 4年

緊急走行をVRで再現?分析

VR上で消防車の緊急走行を体験できるシミュレータを開発し、消防署職員の運転行動を分析しています。シミュレータでは、交差点や横断歩道での危険対応を再現し、昼夜4種類のシナリオを用意しました。消防署職員にヒアリングを行い、運転席の位置、車内で聞こえるサイレンや無線の音等、緊急車両ならではのリアリティも追求しました。将来的には、運転評価やリプレイ機能を備えた振り返りシステムを開発し、緊急走行時の事故リスクの低減に貢献したいと考えています。

緊急走行をVRで再現?分析

小村 太一 さん

工学部 4年

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