環境人間学部は、兵庫県立大学の前身の1つである姫路工業大学の学部として、1998年4月に開設されました。日本で初めて学部名に「環境」と「人間」の両方を冠した学部として文系と理系の枠を取り払い、文理融合の新たな学問分野に挑戦する学部として発足し、2023年の今年、開設25周年を迎えました。このたび、これを記念し、記念式典をはじめとした各種イベントを開催しました。その中で、「食未来エクステンションション講座」をご紹介いたします。
12月7日(木)環境人間キャンパス講堂で、環境人間学部 食環境栄養課程が実施している「食未来エクステンション講座」エキスパートコースとの共催で、25周年記念事業シンポジウムが開催され、学生をはじめ、一般の方々にも参加いただきました。
はじめに、先端食科学研究センター長で環境人間学部の坂本薫教授による開会挨拶がありました。
開会挨拶後、吉村学部長による「環境人間学部25周年?SDGs達成に向けた教育研究」と題した講演がありました。吉村学部長は「環境人間学部は、持続可能な開発目標SDGsの教育?研究に取り組むとともに、さらなる100年に向けて様々なことに取り組んでいく。環境人間学部の理念を継承しつつ、今後の教育?研究、社会貢献活動に向けても、変革?前進をしていく所存である旨述べられました。(写真)
基調講演では、お茶の水女子大学の赤松利恵教授を講師にお迎えし、「食から考える地球と私たちの健康」と題して、「何を食べるか」と「食事の量」の2つの観点から、「地球と私たちの両方にとって良い食事とはどういう食事なのか。また、地球と私たちの健康のために、私たちは何ができるのか」についてご講演いただきました。赤松教授は講演の冒頭で、「私は管理栄養士でもあり、より健康な食生活をどういうふうに送れば良いのかという行動変容を専門にしているが、最近は、私たちの健康だけでなく、地球環境のことも考えて食生活のアドバイスをしなければならない時代になってきている。このような背景から、ここ5年ほどは環境も取り入れながら研究を進めている」と話されました。また、講演では、食品ロス削減の観点から残さずに食べることが推奨される一方で、飲食店が提供する一食あたりの食事量が多いことから、外食産業における食べ残しが多いことや、外食を利用しながらの適正体重の維持の難しさについて取り上げ、「食事を提供する飲食店側もSDGsについてより知り、また、消費者側も飲食店に対して意見を発言するなどして、飲食店での適量提供?適量注文の環境を整えていくことが大事ではないか」と提言されました。最後に赤松教授は「私たちの身近なところから地球温暖化というものを改善していくことができるのではないかと思っている。ぜひみなさんも、改善に向けてできるところから始めていただきたいと思う」と講演を結ばれました。
その後の座談会では、「地球環境と私たち人間の食?健康として、私たちにできること(現在~未来)」と題して行われ、赤松教授と環境人間学部の増原直樹准教授、奥勇一郎准教授、中出麻紀子准教授が登壇しました。(写真)
最後に、環境人間学部の伊藤美紀子教授から閉会挨拶がありました。伊藤教授は「日々の食が健康と関係するということは、食未来エクステンション講座等でも深く考えてきたところであるが、それがこの地球環境と関連し、また、日々の健康が地球環境を変えるという新しい視点での学びが、このシンポジウムであったのではないかと思う。本シンポジウムは食未来エクステンション講座と共催で実施しているが、食未来エクステンション講座は、現在13年目で、これまでに非常に多くの参加者の方に受講いただき、多くの講師の方にご講演いただいている。来年度も開催予定であるので、ぜひ一般の方々や学生にも参加して欲しいと思う」と述べ、挨拶を締めくくりました。(写真)